音楽が身体反応を時間的にそろえる
音楽は,聴覚刺激として認知されるだけでなく,心拍や身体運動の時間構造にも影響します。音楽に伴う身体反応の同期を調べることで,音楽体験を身体的な時間発展として捉えることができます。
このプロジェクトでは,音楽ライブを鑑賞する観客の身体運動や心拍を測定し,観客間で生じる同期現象を調べます。音楽に合わせて身体が動くこと,あるいは心拍の時間構造がそろうことは,個人の反応であると同時に,観客集団としての体験を形づくる現象でもあります。
音楽ライブでは,演奏,照明,観客の反応,空間配置が同時に作用します。本研究では,このような自然な鑑賞場面で生じる身体反応を,小型センサやウェアラブルデバイスを用いて時系列データとして記録し,観客間の身体同期・心拍同期を定量的に分析します。
また,音楽によって誘発される心拍同期(music-induced heart rate synchrony)のメカニズムを実験室での実験を通して検討しました。この研究では,同じ音楽を聴くとき,情報処理を行う認知構造の類似性が高い個人内の場合,差異が大きい個人間よりも安定して同期することを明らかにしました。
さらに,ライブ音楽公演の観客を対象とした研究では,身体運動の時系列データから観客間の同期を解析し,同期が観客同士の親密さにどのように関係するのかを検討しています。加えて,非線形力学系の理論を応用して,観客の反応を駆動する共通入力の再構成も試みています。
同じ参加者が同じ音楽を複数日にわたって聴取したときの心拍時系列を比較し,個人内での同期(within-subject correlation: WSC)と個人間での同期(between-subject correlation: BSC)を評価する研究デザイン。
出典:Nomura, R. (2024). Reliability for music-induced heart rate synchronization. Scientific Reports, 14:12200, Fig. 1. https://doi.org/10.1038/s41598-024-62994-0
音楽は,聴覚刺激として認知されるだけでなく,心拍や身体運動の時間構造にも影響します。音楽に伴う身体反応の同期を調べることで,音楽体験を身体的な時間発展として捉えることができます。
観客が同じ空間で同じ演奏を経験するとき,身体運動や心拍の同期がどのように生じるのかを解析することで,ライブ会場で感じられる一体感や親密さをデータとして検討できます。
個人の音楽体験と,観客集団としての振る舞いを同じ時系列解析の枠組みで扱うことで,音楽ライブを集団ダイナミクスの研究対象として捉えることができます。
Ban, T., Kimura, M., Nomura, R., & Shimada, Y. (2024). Analysis of the effect of music on audience behavior at a concert. Journal of Signal Processing, 28(4), 191–195.
Ban, T., Kimura, M., Nomura, R., and Shimada, Y. (2024.12). An empirical study on collective human behavior in concert audiences. 2024 International Symposium on Nonlinear Theory and Its Applications. Ha Long Bay, Vietnam. December 3–6, 2024.
Nomura, R. (2024). Reliability for music-induced heart rate synchronization. Scientific Reports, 14:12200. Article / Preprint / Press release
Kimura, M., Ban, T., Shimada, Y., and Nomura, R. (2024.12). Does synchronization among audience members during live musical performances enhance their closeness? 2024 International Symposium on Nonlinear Theory and Its Applications. Ha Long Bay, Vietnam. December 3–6, 2024.
Nomura, R., Kimura, M., Ban, T., and Shimada, Y. (2024.12). Reconstructing common inputs from audience multivariate movement time-series data in concert. 2024 International Symposium on Nonlinear Theory and Its Applications. Ha Long Bay, Vietnam. December 3–6, 2024.